クリープランドクリニック | 吉岡一朗


平成29年3月末から5月末まで、クリーブランドクリニックへ見学に行ってきました。今回の短期留学は、昨年度のJATS/AATS Graham Foundation Fellowshipに応募したことで実現しました。医者になって20年ほど経ちますが、海外留学の経験はなくというより大学院時代に北京で一度だけ発表して以来、海外旅行すらしていない私に齋木教授より見識を広げるようにという勧めで応募にしました。見学する病院は学会の方からクリーブランドと指定があり、冬は辛いだろうということで3月末にクリーブランドにやってまいりました。クリーブランドの3、4月の平均気温は仙台とあまり変わりないのですが、気温の変動が激しく4月にもまだ雪が降ったりしました。でも5月に入ると一気に暖かくなり街が緑色に変わりとても綺麗な街です。しかし治安は良くないらしく廃墟も多く、かなり壊れた車が走っていたりして、初めての海外生活をする場所としてはかなり不安の多いところでした。

さて、クリーブランドクリニックは総合で全米第2位(ちなみに1位はMayo Clinic)、心臓外科は10何年連続1位という病院です。年間4000例を超える手術を行っており、その内容も先進的かつ重症度も高い疾患を多く治療しています。外科医は10数人、フェローが20人ほどで、手術室は心臓外科、血管外科、胸部外科が共有していますが、1日10数列が心臓外科に割り当てられており、1日に20例弱の手術が組まれています。数人の外科医はかなり専門化されていて、今回お世話になっているGillinov先生はほぼ僧帽弁のみを手術をしています。他にはSvensson先生やRoselli先生は大動脈弁形成やDavid手術を、Johnston先生は小開胸でのAVR、Smedir先生は肥大型心筋症に対するMyectomyといった具合です。手術は術者とフェロー1人、NP1人が入りますが、人工心肺のカニュレーションまでをフェローとNPで行い、その後に上の先生が入ってきて肝心のところを手術して、人工心肺を下りたら止血閉胸はまたフェローとNPで行っています。器械出しや外回りの看護師さん、麻酔科医も含めて全米トップという誇りからか、みなさんプロ意識の高いチームとして自信に満ち溢れて仕事をされているのが印象的でした。困難な手術も多いですがトラブルになることはほぼなく、Svensson先生のDavid手術で大動脈遮断が1時間にも満たないのには唖然としました。また、Gillinov先生はロボットを使った手術を数多く手がけており、私もこの短期間に20数例ほど見学させていただきました。評判が高いことから全米各地から患者さんは来ていて、他の施設で手術困難になった症例も紹介されてくるので、再手術症例や重症な感染性心内膜炎も多く手術されていました。もっとも困難な厳しい手術を手がけられているのが、最年長73歳のPettersson先生で、その外科医としての姿勢や卓越した技術は全スタッフから尊敬を集めており、私も感銘を受けました。

折角の機会でしたので、仕事以外でも楽しませていただきました。特にバスケットボールがプレーオフシーズンで、試合会場まで足を運びました。NBAを代表するレブロン・ジェームスを擁するキャバリアーズが快進撃を続けており、会場の熱気には圧倒されました。

2ヶ月少しと短期間ではありましたが大変貴重な経験をさせていただき、このような機会を与えていただいた、齋木教授、同門の先生方には大変感謝しております。