STS 52nd Annual Meeting and STS/AATS Tech-Con 2016に参加して|川本 俊輔


JACVSDのデータ利用で解析した本邦におけるACS(急性冠症候群)へのCABGの実態というテーマでまとめた抄録がポスターではありますが採択されましたので,その発表のために2016年1月23日からSTS 52nd Annual Meetingに参加してまいりました.アリゾナ州フェニックスでの開催ということもあるのか,AATSのような厳かな雰囲気は感じられず,どこかのんびりとした学会でした.
STSでも新しい手技・デバイスの紹介や多くの教育セッションが企画され,一般演題の多くはポスター発表となっており,口演演題はそれなりのAuthority達が話すセッションとして組まれていました.そんな中でも日本の他大学の若手の口演演題がいくつか採択されていて感心しておりました.ただ,私が聴講したセッションでの日本人の発表は,Abstractを読めば内容としては十分に意味にあるものだと思うのですが,肝心の発表がお粗末で討論になっても何も答えられず,座長もなんのコメントもできずに終わりにせざるを得ない演題があり,とても残念に感じました.英語の鍛錬はもちろんですが,自分たちの発表の意義,とくに欧米のこれまでの報告や最近のトピックスにおける位置づけなど,十分に指導医とともに詰めおいた上でプレゼンテーションする必要性を改めて認識しました.
日本人はとかく謙遜して,ややもすると「これはつまらない研究ですが...(実際には英語では難しい表現ですが)」などと言い兼ねませんが,欧米で発表するからには,そういう発想は消し去って,自分たちの考えを堂々と主張できるようなメンタリティも重要になってくると改めて考えさせられた学会参加でした.かくいう私の発表演題も論文投稿したものの,主張が下手なのでしょうか,「OPCABの成績が良いのは日本の特殊性でではないか」とのReviewerからのコメントを打破できず,いまだに投稿中です.